【MOVIE】林檎とポラロイド ※Spoiler alert!

映画

この作品も予告見て、記憶喪失になった男が、新しいプログラムを受けて記憶を取り戻していく?!的な話なのかな、って最初は思ったけど・・・

あらすじはこんな感じ、映画ドットコムから。

ギリシャの新鋭クリストス・ニクが長編初メガホンをとり、記憶喪失を引き起こす奇病が蔓延する世界を舞台に描いたドラマ。ある日突然記憶を失った男は、治療のための回復プログラム「新しい自分」に参加する。彼は毎日送られてくるカセットテープに吹き込まれた内容をもとに、自転車に乗る、仮装パーティで友だちをつくる、ホラー映画を観るなど様々なミッションをこなしていく。そんな中、男は同じく回復プログラムに参加する女と出会い、親しくなっていく。男が新しい日常に慣れてきた頃、彼はそれまで忘れていた、以前住んでいた番地をふと口にする。新しい思い出を作るためのミッションによって、男の過去が徐々にひも解かれていくが……。ケイト・ブランシェットが絶賛し、製作総指揮に名を連ねた。

2020年製作/90分/G/ギリシャ・ポーランド・スロベニア合作
原題:Mila
配給:ビターズ・エンド

男は最初から記憶をなくしたふりをしていたのだろうな、って思ったのよね。
奥さんを亡くした悲しみがどうしようもなく辛くて、(多分そこはオープニングで男が柱に頭を何度もぶつけているシーン)一度人生をリセットして新しい自分としてやり直そうとしてたのではないだろうか。
街にはびこる記憶喪失の病気。
医者からは一度記憶を無くすと100%戻らない、ってのがまずポイント。
そんな中、無意識にどこからきたの?って聞かれて番地を言い直す。
昔住んでた家のご近所さんが飼ってた犬が近づいてきて、あっ!飼い主にきづかれちゃまずいと犬を遠ざけるシーン。
同じくプログラムを受けている女性が逆立ちしていていて数を4分間ぶん数えている、と言ってて、153秒だっけか、そう答えたら、フフンと鼻で笑うような表情。
(4分なら240秒だし)
このあたりで、もう記憶はあるよな、って思ってしまったんよね。
話の流れとしては、毎日(なのかな?)新しくプログラムの患者として住まわされているウチに届く一本のカセットテープ。
それにスパイ大作戦よろしくミッションが吹き込まれている。
そのミッションを必ずポラロイドに収めるシーンがなんとも可愛らしい。
記憶がないので、小さい頃からの自分を追体験していくことで、治療につなげていくのだろうな。
それとも新しい記憶として上書きしていくことになるのか。
そしてミッションもだんだんこれやる意味ある??って内容に・・・
しかも患者ごとにやることが違うわけではなく、先に受けている患者さんと同じ内容を知ってしまうと、自分ならあほくさ!ってなるわな。
特に、死ぬまで数日しかない患者を見つけて、看取り、希望があれば聞いてあげて、そしてなくなったら親族として葬儀に参列しなさい、というミッションは、ほんとやるせないし・・・
どうせすぐ死ぬのだから、体に悪いけど焼き菓子が食べたいっていうじーちゃんに、翌日持っていったら亡くなってるとかせつなすぎるよね。
それまでは、新しい自分として生きていこうと、なんとかこのくそつまんないプログラムにつきあってたけど、もうやめよう!と意を決して今まで住んでたウチに戻り、カメラを見据えて正面から林檎を食べるシーンがラストってのは、過去は過去として受け入れて生きていこうとする主人公の強い気持ちの現われだと思う。
林檎の咀嚼音、とても響いたな。

ポスターにある、悲しい記憶だけ忘れることはできませんか、ってコピー、ぜったいよろしくない。
これネタバレだよな・・

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